2011年04月18日
レーザー!(ちょっとまじめな話?)
以前、米軍が「レーザー兵器の開発」をしているという話をしました。
そのとき、正直私は「開発を続けても実用化はしないだろうなぁ」と思っていました。
米軍のような巨大組織ですと「開発すること」というのがそのまま「誰かの飯の種」になっている、という話もしました。要するに実用化が目的というよりそれにより給料が発生していることが重要、というわけです。
過去には核動力の爆撃機、なんて話もありましたが、正直レーザー兵器もその手合いだと思っていたわけです。
しかし実は米軍、かなり本気で作っていたみたいでなんとすでに実用デモを行うぐらいまできているそうです。
下の動画がそのデモ。洋上に置かれたボートのエンジンをレーザーで発火させています。
ただ、レーザーってアニメみたいに「ビー」っとか目に見えないんですよね。照射点が熱で光ることはあるけど。なのでこの動画もレーザーで燃え出しているのか、何かの事故なのか、一見すると「よーわからん」という感じになります。
この技術、現在主に海軍ベースで進んでいる様子。というのも大分実用サイズに近づいたとは言えレーザー兵器、まだまだかなりの巨体。なので搭載できるものも限られるわけです。その点戦艦(と言う艦種はすでに無いんですが)なら積載力は陸上兵器や航空兵器に比べ余裕がありますし、運用上のいくつかの用件もクリアできます。
現状のレーザーは動画を見る限り、アニメのように「ビー!」と発射されて命中したら「ドカンッ!」って感じじゃありません。なんというか、こう「ジリジリジリ」っと虫眼鏡で太陽光線を集めて紙を焦がすような、そんな感じです。詳しくは仕様が判らないのでハッキリとしたことは言えませんが、恐らく標的までの距離などから焦点を定め、そこにレーザーを当てて高熱にする、と言う感じなんでしょう。
この仕様ですと、まず航空機への搭載は絶望的です。かなり足の遅い大型機でも飛行機は圧倒的に速いですから、長時間(射撃兵器としてはかなりの長時間でしょう)一点への照射が必要なこのシステムでは運用は実質不可能だろうと思います。また戦車などの陸上兵器の場合、今度は間の障害物が問題になります。
たとえば戦車などに照射を開始した場合、照射されていることがわかれば当然逃げます。そして何かの物陰に隠れることになるだろうと思います。
通常の砲弾などの場合はちょっとした障害物程度なら貫通して隠れた標的へもダメージを加えられますが、レーザーの場合は焦点の都合などもあり、簡単な障害物でも上手く機能しなくなる恐れがあります。隠れる物陰が多い陸上ではやっぱり運用が難しい、となってしまいます。
しかし艦船の場合、移動速度はそれほど極端に早くは無いですし、なにより障害物が圧倒的に少ないときており、レーザーの運用に適していると言えます。当然コンピュータによる制御を行うでしょうから少々動き回られても焦点を外さずに済みます。
まあ、実は照射を開始されたら照射している艦との間に手榴弾でも投げ込んで水しぶきを上げれば対処可能、と言う説もありますが・・・。
いずれ、出力をより高めたりしてそれこそアニメのように一撃!と言う感じになればさらに運用の自由度も増すんでしょうが、現状では艦船での運用が最も現実的、と言った状況なのでしょう。