2011年01月08日
マグナム
以前にやった「弾(実包)の話」の時に触れなかったお話。
今回はみんな大好き、「マグナム」の話です。
マグナムとは
有名な話なので知っている方も多いかと思いますが、マグナムの語源は「マグナムボトル」から来ています。
このマグナムボトル、と言うのは要するに増量ボトルの事。主にワインやシャンパンのボトルは今でも概ね750mlになっていますが、この首部分の短くし、その分胴の部分を延ばす等して容量を大体1000mlまで増やしたものを言いました。
カートリッジとしての「マグナム」も同様で、ケース(薬莢)部分の長さを延ばしたり、形状(ネック部分の角度など)を変えて中に詰められる火薬の量を増したものを言います。
火薬量が増していますので、当然通常弾に比べパワー=マズルエナジーが高く、高威力・高貫通力を発揮できる様になります。
マグナムと「ダーティーハリー」
マグナム、と言えば多くの人が「44マグナム」を思い出し、その多くはそのまま「ダーティーハリー」を思い出す、と言うぐらい有名なハリウッド映画「ダーティーハリー」は1971年公開の映画。既に40年前の映画になるわけですが、度々TVで放送されていることもあり、今でも多くの人が印象に残している事だと思います。
この「ダーティーハリー」は非常に多くの影響を及ぼし、公開当時から現在に至るもフィクションにおける「パワー」を重視する傾向はこの作品が最も大きな要因だと言えるでしょう。
多くの漫画作品などでは主人公が持つ銃は決まってマグナムでしたし、TVの刑事ドラマでもマグナムモデルを持っていることは多数有りました。つい近年の作品まで、殆どの場合は主人公で銃を使うヒーローなら持つのはリボルバーのマグナムモデルで決まり!と言えるほどでした。
アンチマグナム
現在もフィクションでは強力なカートリッジを使うモデルを手に活躍するヒーローは多く居ますが、最近特に勢力を伸ばして来ているのがマグナムの様な強力な威力を否定する、いわば「アンチマグナム」タイプのヒーロー。
彼らは皆、「人を殺すのにそんなパワーは要らない」と言い、威力よりもテクニックで戦闘に勝利するタイプとなります(その割には変なカスタムガンを使ってるキャラクターも居たりしますが・・・)。
このタイプは従来のステレオタイプなヒーロー像を否定することでより上位のヒーロー像を安易に構築できることもあり、最近は若干乱造気味なぐらいに増えてきています。
マグナムは実用品?
さて、そもそもマグナムカートリッジとその専用銃、マグナムリボルバーやマグナムオート、ライフルなどは実のところどうなのでしょう?これらは実用品と言えるのでしょうか?
答えは「YES」です。これらは「人間以外の標的」に対する時に必要になります。
ありきたりな話ではありますが、アラスカのグリズリー。灰色熊と言われるこの熊は平均の体長は250cm、体重は300kg。時に500kg近いサイズまで成長する巨獣。この怪物じみた獣に対峙した場合に、通常のハンドガンなど殆ど役には立ちません。
針の様な毛と厚く頑丈な皮膚、衝撃を吸収し痛みやダメージから身を守る脂肪層に対抗するには通常を超える威力と貫通力を持つマグナムが必要になります。
アラスカでのハンティングでは護身用に最低でも44マグナム以上を持つことはハンターの間では常識となっています。
そもそも上記の「44マグナム」もその威力は「熊を倒せる最低限のもの」として開発されているそうです。
対人戦闘では無用でしょうが、巨大肉食獣が徘徊するようなフィールドでは間違い無くマグナムは実用品だと言えるわけです。
代表的なマグナム弾
.357マグナム
コルトのパイソン、S&WのM19他で使用される非常に有名なマグナム弾。
高い貫通力、必要にして充分な打撃力、扱いきれるレベルの反動とあってリボルバー全盛の1980年代迄、アメリカンポリスの間でも最も普及していたカートリッジ。
.44マグナム
44口径の狩猟用マグナム弾。
上記の通り、映画「ダーティーハリー」で「世界最強の拳銃」として紹介したことから人気に火が付き一躍有名に。
鹿などの中型獣をハントする為の弾であり、同時に上で触れた様に熊から身を守る際にも使える威力となっているカートリッジ。
.44オートマグピストル
.44オートマグ専用弾。威力自体は.44マグナムよりも高かったが、オートマグがあまりにトラブルが多く、また初期段階で弾薬を上手く供給させられず普及せずに終わったカートリッジ。
.454カスール
一時期.44マグナムを超え、世界最強となっていたリボルバー用カートリッジ。
.45ロング・コルトをさらに延長したカートリッジで登場は1957年。非常に古いカートリッジだったが、長らく運用出来る銃が無く忘れされられていたもの。近代の製鉄技術などによりやっと運用出来る銃の製造が可能となりスポットが当たった。
威力は概ね、44マグナムの2倍と言われている。
.500SWマグナム
スミス&ウェッソンの世界最強の冠奪還用カートリッジ。専用のS&W M500にて運用。
完全に目的が上記の冠用と言った部分は否定できず、その存在には否定的な意見も多い。
また威力に関しても世界最強はほぼ間違い無いとは思われるが、454カスール等他の弾に不利な条件を加えるなど、S&Wが行ったテストは必ずしもフェアとは言えず、実質的にはそれほど大きな差は無いのでは無いかと言う説もある。
さらに、このカートリッジはあまりに強烈な反動や発射炎などにより後遺症があったり、怪我をしたりと言った恐れもあるため一部では「欠陥品」とも言われている(ただしこの点はS&Wは当初から「最強」であること以外を全て捨てており、必ずしも欠陥とは言えず、ある意味想定の範囲内とも言える)。
以上は全てハンドガン用。ライフル用もありますが、今回は割愛とさせていただきます。
エアガンでは威力面で極端な差を作るわけにも行きませんし、上限が定まっているだけにパワーも挙げられません。
しかしマグナムモデルはどれも非常に大きく、その強力さを感じさせてくれることからも非常に人気の高いモデルが多く有ります。
サバイバルゲームなどではもちろん、実用性と言う点ではむしろ他のハンドガンよりも大きく重たい事から劣る部分があるわけですが、敢えてそれをおして使う、と言うのも楽しいもの。
次回のゲーム、ハンドガンナーとしてマグナムハンドガン一丁でフィールドに飛び込んでみるのも一興だと思いますよ。
今回はみんな大好き、「マグナム」の話です。
マグナムとは
有名な話なので知っている方も多いかと思いますが、マグナムの語源は「マグナムボトル」から来ています。
このマグナムボトル、と言うのは要するに増量ボトルの事。主にワインやシャンパンのボトルは今でも概ね750mlになっていますが、この首部分の短くし、その分胴の部分を延ばす等して容量を大体1000mlまで増やしたものを言いました。
カートリッジとしての「マグナム」も同様で、ケース(薬莢)部分の長さを延ばしたり、形状(ネック部分の角度など)を変えて中に詰められる火薬の量を増したものを言います。
火薬量が増していますので、当然通常弾に比べパワー=マズルエナジーが高く、高威力・高貫通力を発揮できる様になります。
マグナムと「ダーティーハリー」
マグナム、と言えば多くの人が「44マグナム」を思い出し、その多くはそのまま「ダーティーハリー」を思い出す、と言うぐらい有名なハリウッド映画「ダーティーハリー」は1971年公開の映画。既に40年前の映画になるわけですが、度々TVで放送されていることもあり、今でも多くの人が印象に残している事だと思います。
この「ダーティーハリー」は非常に多くの影響を及ぼし、公開当時から現在に至るもフィクションにおける「パワー」を重視する傾向はこの作品が最も大きな要因だと言えるでしょう。
多くの漫画作品などでは主人公が持つ銃は決まってマグナムでしたし、TVの刑事ドラマでもマグナムモデルを持っていることは多数有りました。つい近年の作品まで、殆どの場合は主人公で銃を使うヒーローなら持つのはリボルバーのマグナムモデルで決まり!と言えるほどでした。
アンチマグナム
現在もフィクションでは強力なカートリッジを使うモデルを手に活躍するヒーローは多く居ますが、最近特に勢力を伸ばして来ているのがマグナムの様な強力な威力を否定する、いわば「アンチマグナム」タイプのヒーロー。
彼らは皆、「人を殺すのにそんなパワーは要らない」と言い、威力よりもテクニックで戦闘に勝利するタイプとなります(その割には変なカスタムガンを使ってるキャラクターも居たりしますが・・・)。
このタイプは従来のステレオタイプなヒーロー像を否定することでより上位のヒーロー像を安易に構築できることもあり、最近は若干乱造気味なぐらいに増えてきています。
マグナムは実用品?
さて、そもそもマグナムカートリッジとその専用銃、マグナムリボルバーやマグナムオート、ライフルなどは実のところどうなのでしょう?これらは実用品と言えるのでしょうか?
答えは「YES」です。これらは「人間以外の標的」に対する時に必要になります。
ありきたりな話ではありますが、アラスカのグリズリー。灰色熊と言われるこの熊は平均の体長は250cm、体重は300kg。時に500kg近いサイズまで成長する巨獣。この怪物じみた獣に対峙した場合に、通常のハンドガンなど殆ど役には立ちません。
針の様な毛と厚く頑丈な皮膚、衝撃を吸収し痛みやダメージから身を守る脂肪層に対抗するには通常を超える威力と貫通力を持つマグナムが必要になります。
アラスカでのハンティングでは護身用に最低でも44マグナム以上を持つことはハンターの間では常識となっています。
そもそも上記の「44マグナム」もその威力は「熊を倒せる最低限のもの」として開発されているそうです。
対人戦闘では無用でしょうが、巨大肉食獣が徘徊するようなフィールドでは間違い無くマグナムは実用品だと言えるわけです。
代表的なマグナム弾
.357マグナム
コルトのパイソン、S&WのM19他で使用される非常に有名なマグナム弾。
高い貫通力、必要にして充分な打撃力、扱いきれるレベルの反動とあってリボルバー全盛の1980年代迄、アメリカンポリスの間でも最も普及していたカートリッジ。
.44マグナム
44口径の狩猟用マグナム弾。
上記の通り、映画「ダーティーハリー」で「世界最強の拳銃」として紹介したことから人気に火が付き一躍有名に。
鹿などの中型獣をハントする為の弾であり、同時に上で触れた様に熊から身を守る際にも使える威力となっているカートリッジ。
.44オートマグピストル
.44オートマグ専用弾。威力自体は.44マグナムよりも高かったが、オートマグがあまりにトラブルが多く、また初期段階で弾薬を上手く供給させられず普及せずに終わったカートリッジ。
.454カスール
一時期.44マグナムを超え、世界最強となっていたリボルバー用カートリッジ。
.45ロング・コルトをさらに延長したカートリッジで登場は1957年。非常に古いカートリッジだったが、長らく運用出来る銃が無く忘れされられていたもの。近代の製鉄技術などによりやっと運用出来る銃の製造が可能となりスポットが当たった。
威力は概ね、44マグナムの2倍と言われている。
.500SWマグナム
スミス&ウェッソンの世界最強の冠奪還用カートリッジ。専用のS&W M500にて運用。
完全に目的が上記の冠用と言った部分は否定できず、その存在には否定的な意見も多い。
また威力に関しても世界最強はほぼ間違い無いとは思われるが、454カスール等他の弾に不利な条件を加えるなど、S&Wが行ったテストは必ずしもフェアとは言えず、実質的にはそれほど大きな差は無いのでは無いかと言う説もある。
さらに、このカートリッジはあまりに強烈な反動や発射炎などにより後遺症があったり、怪我をしたりと言った恐れもあるため一部では「欠陥品」とも言われている(ただしこの点はS&Wは当初から「最強」であること以外を全て捨てており、必ずしも欠陥とは言えず、ある意味想定の範囲内とも言える)。
以上は全てハンドガン用。ライフル用もありますが、今回は割愛とさせていただきます。
エアガンでは威力面で極端な差を作るわけにも行きませんし、上限が定まっているだけにパワーも挙げられません。
しかしマグナムモデルはどれも非常に大きく、その強力さを感じさせてくれることからも非常に人気の高いモデルが多く有ります。
サバイバルゲームなどではもちろん、実用性と言う点ではむしろ他のハンドガンよりも大きく重たい事から劣る部分があるわけですが、敢えてそれをおして使う、と言うのも楽しいもの。
次回のゲーム、ハンドガンナーとしてマグナムハンドガン一丁でフィールドに飛び込んでみるのも一興だと思いますよ。