2011年04月02日
アルコールストーブ
今回はネットで検索を掛けると驚くほどヒットするほど、実はマニアの多い「アルコールストーブ」のお話。
アルコールストーブ、と言うのはその名の通りアルコールを燃料とするストーブ。ちなみにここで言う”STOVE”とは暖房としてのストーブでは無く日本語なら焜炉(コンロ)と呼ぶ、調理用の熱源を作り出すものです。
このアルコールストーブ(又はアルコールバーナー)、兎にも角にも構造がシンプルで実に簡単。ですので市販のものは昔から「メインでは活躍しないまでもバックアップ(予備)としては実に優秀」と山をやる人に大きな信頼を寄せられています。
それこそ踏み付けてペシャンコにでもしない限りおよそ使えない、と言うことの無い作りは確かに故障とは無縁と言えます。
しかもこのストーブ、その単純で簡単な作りなので所謂「自作」も簡単に行えます。
と言うわけで、今回はこのアルコールストーブを自作してみたいと思います。
まずは材料。アルミの空き缶(350ml)を2つ(写真では予備込みで3つ)。
(クリアアサヒはビールとしてみると寂しい味ですが、駆けつけ3杯には向いたライトな飲み味が美味しいです。)
道具はカッター(大)・ハサミ・千枚通し(無ければ押しピンとかでもOK)・ラジオペンチ
道具はカッターさえあれば工夫次第で(出来は汚くなりますが)製作可能です。
最初に一番面倒かつ難しい、缶の下側の切断です。
高さを一定にするため適当な台(写真は携帯電話のマニュアル)にカッターを固定し、その刃に缶を当ててグルグル回しています。
こうする事で缶の表面に一定にケガキを入れられます。カッターの刃を有る程度切れるように当てるのはコツが必要ですが、ある程度やると掴めます。
しつこくグルグルやってるとそのうち刃が「プス」っと入ります。こうなったら手で軽く押してやるとケガキ線に沿って缶が切れ(割れ)ます。切断面で手を切らないように注意!
ケガキがしっかりと入っていればキレイに取れるんですが、甘い部分があると線から外れて切れてしまいます。でもケガキ線より上ならハサミでカットして調整すればOK。キレイに出来てるに越した事は無いんですが、この部分の仕上がりが性能に大きく影響することは無いのであまり神経質になる必要は有りません。
2個分の底側を同じ位の大きさでカットします。カットする高さは高くすれば容量が大きくなってそれだけ長時間の燃焼が可能。
写真ぐらいのサイズだと多分10分から15分ぐらい(気温や風の具合で変化します)。この後あける穴の大きさや数によっても変化するのでいろいろ試してみてください。
2つ切った内の片方を加工します。こちらは上になるほう。
まずは中心部の凹んでる部分を切り取る為千枚通しでブスブス穴を開けて行きます。写真ぐらいのサイズで。出来るだけ真円が望ましいわけですが、これまた適当で構いません。グルっと一周したらカッターで穴を繋いで行きます。結構アッサリ刃が刺さりますので写真みたいなやり方するといらない所まで切ってしまうかも。怪我に注意しながら丁寧に作業してください。
一通り繋いで切り取ります。
切り取った後はラジオペンチで内側にクイクイまげてギザギザ部分を内側に。写真を参考に、上から見たらこんな感じになるように。要はこの部分で後々手を切ったりしない様にするわけです。
もう片方はラジオペンチで摘んでクイ、っと捻って行きます。女の子のスカートの「フレア」みたいにします。これまた一通りやるとこんな感じ。こちらが底側の下になるほう。そして先程穴を開けて作った上側の内側に入れるわけです。
最後のパーツを作ります。
まずは先程底側を切断した残りの部分にハサミを入れて切り出します。ここはある意味一番手を切りやすいので注意。出来れば軍手などをはめてやった方が良いでしょう。
グルっと切り出して板状に。その板を定規を当ててカッターで切ります。この時も一回で切り取るのではなく何度か繰り返し筋をつけるように刃を入れると切り取れます。取れなくてもコキっと折ってやればきれいに取れます。
短冊状になったら反対側も切ります。この時の幅はストーブ内部の高さピッタリにする必要があるので現物合わせで何度か試組みしながら。
切り出しと工作がある程度完成したパーツ3点。バーナー部になる上、内側にはまり込む底、内部の筒にする短冊状のものの3点です。
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内側の筒を作るため現物合わせしつつクルっと筒にして上とあわせます。缶の底の一番高くなっている部分(接地する部分)に合わせて丸めて手で押さえます。
面倒な場合はこのままホッチキスで2箇所ぐらいバチバチっと留めます。
ちょっと手間を掛けても良い、と言う場合は長さを調整して短冊の上下に切り込みを入れてはめ合わせても良いかと思います。
筒が出来たら片側に写真の様に2箇所、三角の切り込みを入れます。大きさは5~6mmぐらい?小さめです。この切り込みを入れた方が下になります。
切り込みを入れた方を下にして底の部分にセット、その後バーナー部の上を被せます。この時点で中の筒が高すぎる場合は切って調整します。低すぎる場合は筒の部品をもう一回作り直し・・・なので最初は少し高めにしておきましょう。
高さも良い感じなら上からグっと押さえつけ上下を嵌め込んで完成・・・では無いですが合体完了になります。
千枚通しで写真の部分に上からブスブスと穴を開けて行きます。写真では斜めに針を入れるような感じですが、実際には真っ直ぐ上から下へ入れてください。斜めにしてしまうと中の筒パーツまで一緒に貫通しかねません。
この穴から炎が出ますので、ここは多少正確に。まず一箇所開けて、次にその対面に。次はその2点の垂直方向に、そしてまたその対面に。こうして4つ開いたら今度はその4点のそれぞれ中間に。4箇所あけると8穴。その次は16、さらに32・・・と言った感じで。16か32辺りが妥当かと思います。この穴のサイズと数でバーナーの性能に変化が生まれます。今回は16にして見ました。穴のサイズは千枚通しの太さ、1mm強。2mmぐらいまでは許容範囲でしょう。
一通り開ければ完成です。
さて、いよいよ試運転です。まずはいきなり着火では無く、燃料を入れてからしばらく様子を見てください。作業中に底側にもし穴が空いちゃったりしてるとそこから燃料が漏れて回りが火事になっちゃいますので燃料の漏れ出しが無いかをよーく確認してください。燃料は真ん中に開けた穴から注ぎます。8分目ぐらいまでで(要は下の側の皿の高さが限界と言うことです)。そして問題が無いと確認されてから着火します。
火を着けるので絶対に屋内でやっちゃ駄目です。台所の流しでやるなんて以ての外です。外で、周りに燃えるものが無い状況でやる様に。充分注意して下さい。
上手くいくと最初は真ん中部分だけが燃えます。しばらくしてストーブ自体が熱を持って来ると回りに開けた穴から火が出始めます。熱量が上がってくると周りの穴から出る炎が勢いを増してきます。この状態が本燃焼。内圧により火力がアップして行きます。
このままだとこの上に直接は鍋やヤカンを置けませんが、何か適当なものでゴトクを用意してやればそれなりに高い火力を利用できます。炎はあんまり近すぎると逆にパワーダウンになってしまうのでストーブ上部から1~2cmは離れるようにすると良いでしょう。石などを利用してください。
高さや穴のサイズや数で燃焼時間が変わってきます。一旦、最大でどれぐらいの時間燃えるのか、そして例えば1Lのヤカンや鍋ならどれぐらいで沸騰するのか、しないのか(鍋サイズや外気温、風の具合によっては沸騰させられないこともあります)を実験しておくと本番で苦労しないで済みます。
総じてスペック面ではガスコンロとは比べ物にならないほど弱い、と思ってください。良くて弱火レベルです。
試運転が問題なかったら周りを紙やすりで擦って塗装を剥がしてみたり。一定の方向(横なら横のみ)で擦るようにするとそれっぽく出来上がります。
今回のものはアルコールストーブの中ではもっともスタンダードなタイプ。
これ以外にも缶の形を違うものをを使えばゴトク不要なタイプ(サイドバーナー式)にすることもできますし、中にはもっと製作方法の難しいですが、火力が高い「加圧式」などもあります。逆に形状がもっとシンプルな「開放型」などもありますので色々と調べて作ってみると面白いかと思います。
アルコールさえ用意できればどこでも使えるストーブ(密室での使用は駄目ですよ!)。一個作っておくとイザと言う時に役立つかも知れません。
アルコールストーブ、と言うのはその名の通りアルコールを燃料とするストーブ。ちなみにここで言う”STOVE”とは暖房としてのストーブでは無く日本語なら焜炉(コンロ)と呼ぶ、調理用の熱源を作り出すものです。
このアルコールストーブ(又はアルコールバーナー)、兎にも角にも構造がシンプルで実に簡単。ですので市販のものは昔から「メインでは活躍しないまでもバックアップ(予備)としては実に優秀」と山をやる人に大きな信頼を寄せられています。
それこそ踏み付けてペシャンコにでもしない限りおよそ使えない、と言うことの無い作りは確かに故障とは無縁と言えます。
しかもこのストーブ、その単純で簡単な作りなので所謂「自作」も簡単に行えます。
と言うわけで、今回はこのアルコールストーブを自作してみたいと思います。
まずは材料。アルミの空き缶(350ml)を2つ(写真では予備込みで3つ)。
(クリアアサヒはビールとしてみると寂しい味ですが、駆けつけ3杯には向いたライトな飲み味が美味しいです。)
道具はカッター(大)・ハサミ・千枚通し(無ければ押しピンとかでもOK)・ラジオペンチ
道具はカッターさえあれば工夫次第で(出来は汚くなりますが)製作可能です。
最初に一番面倒かつ難しい、缶の下側の切断です。
高さを一定にするため適当な台(写真は携帯電話のマニュアル)にカッターを固定し、その刃に缶を当ててグルグル回しています。
こうする事で缶の表面に一定にケガキを入れられます。カッターの刃を有る程度切れるように当てるのはコツが必要ですが、ある程度やると掴めます。
しつこくグルグルやってるとそのうち刃が「プス」っと入ります。こうなったら手で軽く押してやるとケガキ線に沿って缶が切れ(割れ)ます。切断面で手を切らないように注意!
ケガキがしっかりと入っていればキレイに取れるんですが、甘い部分があると線から外れて切れてしまいます。でもケガキ線より上ならハサミでカットして調整すればOK。キレイに出来てるに越した事は無いんですが、この部分の仕上がりが性能に大きく影響することは無いのであまり神経質になる必要は有りません。
2個分の底側を同じ位の大きさでカットします。カットする高さは高くすれば容量が大きくなってそれだけ長時間の燃焼が可能。
写真ぐらいのサイズだと多分10分から15分ぐらい(気温や風の具合で変化します)。この後あける穴の大きさや数によっても変化するのでいろいろ試してみてください。
2つ切った内の片方を加工します。こちらは上になるほう。
まずは中心部の凹んでる部分を切り取る為千枚通しでブスブス穴を開けて行きます。写真ぐらいのサイズで。出来るだけ真円が望ましいわけですが、これまた適当で構いません。グルっと一周したらカッターで穴を繋いで行きます。結構アッサリ刃が刺さりますので写真みたいなやり方するといらない所まで切ってしまうかも。怪我に注意しながら丁寧に作業してください。
一通り繋いで切り取ります。
切り取った後はラジオペンチで内側にクイクイまげてギザギザ部分を内側に。写真を参考に、上から見たらこんな感じになるように。要はこの部分で後々手を切ったりしない様にするわけです。
もう片方はラジオペンチで摘んでクイ、っと捻って行きます。女の子のスカートの「フレア」みたいにします。これまた一通りやるとこんな感じ。こちらが底側の下になるほう。そして先程穴を開けて作った上側の内側に入れるわけです。
最後のパーツを作ります。
まずは先程底側を切断した残りの部分にハサミを入れて切り出します。ここはある意味一番手を切りやすいので注意。出来れば軍手などをはめてやった方が良いでしょう。
グルっと切り出して板状に。その板を定規を当ててカッターで切ります。この時も一回で切り取るのではなく何度か繰り返し筋をつけるように刃を入れると切り取れます。取れなくてもコキっと折ってやればきれいに取れます。
短冊状になったら反対側も切ります。この時の幅はストーブ内部の高さピッタリにする必要があるので現物合わせで何度か試組みしながら。
切り出しと工作がある程度完成したパーツ3点。バーナー部になる上、内側にはまり込む底、内部の筒にする短冊状のものの3点です。
>
内側の筒を作るため現物合わせしつつクルっと筒にして上とあわせます。缶の底の一番高くなっている部分(接地する部分)に合わせて丸めて手で押さえます。
面倒な場合はこのままホッチキスで2箇所ぐらいバチバチっと留めます。
ちょっと手間を掛けても良い、と言う場合は長さを調整して短冊の上下に切り込みを入れてはめ合わせても良いかと思います。
筒が出来たら片側に写真の様に2箇所、三角の切り込みを入れます。大きさは5~6mmぐらい?小さめです。この切り込みを入れた方が下になります。
切り込みを入れた方を下にして底の部分にセット、その後バーナー部の上を被せます。この時点で中の筒が高すぎる場合は切って調整します。低すぎる場合は筒の部品をもう一回作り直し・・・なので最初は少し高めにしておきましょう。
高さも良い感じなら上からグっと押さえつけ上下を嵌め込んで完成・・・では無いですが合体完了になります。
千枚通しで写真の部分に上からブスブスと穴を開けて行きます。写真では斜めに針を入れるような感じですが、実際には真っ直ぐ上から下へ入れてください。斜めにしてしまうと中の筒パーツまで一緒に貫通しかねません。
この穴から炎が出ますので、ここは多少正確に。まず一箇所開けて、次にその対面に。次はその2点の垂直方向に、そしてまたその対面に。こうして4つ開いたら今度はその4点のそれぞれ中間に。4箇所あけると8穴。その次は16、さらに32・・・と言った感じで。16か32辺りが妥当かと思います。この穴のサイズと数でバーナーの性能に変化が生まれます。今回は16にして見ました。穴のサイズは千枚通しの太さ、1mm強。2mmぐらいまでは許容範囲でしょう。
一通り開ければ完成です。
さて、いよいよ試運転です。まずはいきなり着火では無く、燃料を入れてからしばらく様子を見てください。作業中に底側にもし穴が空いちゃったりしてるとそこから燃料が漏れて回りが火事になっちゃいますので燃料の漏れ出しが無いかをよーく確認してください。燃料は真ん中に開けた穴から注ぎます。8分目ぐらいまでで(要は下の側の皿の高さが限界と言うことです)。そして問題が無いと確認されてから着火します。
火を着けるので絶対に屋内でやっちゃ駄目です。台所の流しでやるなんて以ての外です。外で、周りに燃えるものが無い状況でやる様に。充分注意して下さい。
上手くいくと最初は真ん中部分だけが燃えます。しばらくしてストーブ自体が熱を持って来ると回りに開けた穴から火が出始めます。熱量が上がってくると周りの穴から出る炎が勢いを増してきます。この状態が本燃焼。内圧により火力がアップして行きます。
このままだとこの上に直接は鍋やヤカンを置けませんが、何か適当なものでゴトクを用意してやればそれなりに高い火力を利用できます。炎はあんまり近すぎると逆にパワーダウンになってしまうのでストーブ上部から1~2cmは離れるようにすると良いでしょう。石などを利用してください。
高さや穴のサイズや数で燃焼時間が変わってきます。一旦、最大でどれぐらいの時間燃えるのか、そして例えば1Lのヤカンや鍋ならどれぐらいで沸騰するのか、しないのか(鍋サイズや外気温、風の具合によっては沸騰させられないこともあります)を実験しておくと本番で苦労しないで済みます。
総じてスペック面ではガスコンロとは比べ物にならないほど弱い、と思ってください。良くて弱火レベルです。
試運転が問題なかったら周りを紙やすりで擦って塗装を剥がしてみたり。一定の方向(横なら横のみ)で擦るようにするとそれっぽく出来上がります。
今回のものはアルコールストーブの中ではもっともスタンダードなタイプ。
これ以外にも缶の形を違うものをを使えばゴトク不要なタイプ(サイドバーナー式)にすることもできますし、中にはもっと製作方法の難しいですが、火力が高い「加圧式」などもあります。逆に形状がもっとシンプルな「開放型」などもありますので色々と調べて作ってみると面白いかと思います。
アルコールさえ用意できればどこでも使えるストーブ(密室での使用は駄目ですよ!)。一個作っておくとイザと言う時に役立つかも知れません。