2010年05月13日
歩
歩く、と言うのは人間のもっとも基本的な移動手段の一つです。
両の足を交互に前に出し進むこの行為は一見実に単純な行為の様に見えますが、その実非常に複雑な動作となっています。片足を前に振り出すと同時に重心を進行方向へ移動、残している足の足首の角度を調整し腰・腹・上体・頭を移動。振り出した足が地面に付きそれ以上前に移動するのを止め、且つその前に出た足へ全体の重心を移動し残した後ろ足を前へと引き付けます。さらに前に進むのならそのままその後ろ足を今度は前へ振り出し・・・と続けて行きます。言葉で説明するとこれだけの行、字数を要するわけです。しかもこれでも非常に簡略化した説明。実際には腰~頭の移動に関してはさらにその角度の調整や重心位置の移動の推移など、サラリと普段やっていますが、非常に高度なことを我々は行っているんです。
ただ歩くだけでも色々大変なのに、人間はさらに細かく歩き方、と言うのが様々あります。
左は歩き方を大雑把に2例だしたもの。左は女性的な、スマートな歩き方。右は逆に男性的な、力強い歩き方。
見ての通り全く同じ3Dフィギュアを使っていますが、ちょっとした身体の各部の使い方が変わるだけでこれだけ印象が変わります。
このほかにも色々な歩き方があるわけですが、そんな中でも今回注目したいのは「戦闘向けな歩き方」。
サバイバルゲームで役に立つ歩き方、と言うのはどんなものだろう、と言う事を考えてみたいと思います。
~武道の基本はすりあし~
剣道や柔道、空手では似た様な歩き方、「歩法」があります。それは「すりあし」。
すりあしとは足を地面から高く上げず地面をする様に足を前に進める、前後の足を交互に出す通常の歩き方と違い前の足は常に前、後ろの足は常に後ろとする独特の歩法です。
右の画像はちょっとイイカゲンではありますが、この画像で説明するとまず1番上。両足を肩幅よりすこし広めに開いて腰を落とて構えています。体重はどちらかと言うと後ろ足(この場合は右足)に掛かっています。
2番目、前の足(左足)を進みたい方向に地面から殆ど離さずスライドさせるように前に出します。この動作が「する」と言うわけです。この段階ではまだ体重は後ろ足にあります。
3番目、出した前足に体重を移して行きます。後ろ足から体重を徐々に抜き、抜いた分だけ前足に体重を乗せる、と言うようにして重心位置を前に移動させます。
4番目、3番の重心位置の移動と共に、後ろに残した足をひきつけて行きます。実際にはこの3番と4番はほぼ同時に行い、分解して考える、と言うのはあまりしないだろうと思います。
5番目は最初に戻る、です。これを繰り返し移動をしていきます。
この移動方法の最大のメリットは体重の移動、重心の移動を非常に細かくコントロールすることが可能な点。そして移動の初手となる前足のすり出しの際、その前足で非常に多くの情報を得ることが可能な点です。
良く暗いところや視界の悪いところで手探り、と言う言い方をしますが、この歩法では手探りならぬ「足探り」が可能なのです。
前に出した足で体重を移す前にその場所が安定しているのか、つまづくようなものは無いか、抜けたりしないか、怪我をするような尖った物など無いか、と確認しながら移動できるわけです。
前足を出す時はまだ後ろの足に体重が乗っていますから、もし何がしかの危険があれば前足は即座に戻すことが出来るわけです。
この歩法を身につけると足元を殆ど見ずに移動することが可能になります。
先に挙げたような「武道」ではいちいち足元を良く確認してから移動する、なんてことは出来ません。とは言え足元も見ずに移動して万が一にも転んだりしたら致命的です。なんと言っても目の前にはこちらの命を狙う「敵」が居るわけですから。
そうなると相手から眼を離さず、かつ確実な移動をするにはどうすれば良いのか、そうやって生まれたのがこの「すりあし」だろうと思います。
しかしこの「すりあし」デメリットもあります。
その最大の難点は「移動速度が遅い」と言うこと。
サバゲでゲームスタートからこの「すりあし」で移動していたら敵に会う前にゲーム時間がオーバーしそうです。
そこで通常の移動には普通に歩く、走る、を使い、敵が居そうな場所ではこのすり足移動を使う、と言うのが現実的です。
「すりあし」での移動が戦闘向きなところは有る程度見えて来ました。しかし実際にサバイバルゲームで役立つのでしょうか。
こちらは縦では無く横に並べただけなんですが、これを見て何か気が付くでしょうか。
注目すべきは頭の高さ、上半身の状態。
腰から下は色々と動いていますが、頭の高さ、肩の高さ、胸の高さと言う部分は殆ど変化していません。紙かなにかで下半身だけ隠すと上半身は殆ど同じ画像が並んでいるだけになります。
この点、非常に有効だと思いませんか?銃を構えて移動するのに。
つまり「すりあし」をマスターすれば銃を構え安定させたまま移動することが可能になるのです。
これは特に隠れた敵を見つけるために行うクリアリングなどでは非常に有効です。
しかし少々長くなってきましたので今回はここまでで。
次の機会は「銃を構えたまま移動する」と言うのを考えてみたいと思います。
両の足を交互に前に出し進むこの行為は一見実に単純な行為の様に見えますが、その実非常に複雑な動作となっています。片足を前に振り出すと同時に重心を進行方向へ移動、残している足の足首の角度を調整し腰・腹・上体・頭を移動。振り出した足が地面に付きそれ以上前に移動するのを止め、且つその前に出た足へ全体の重心を移動し残した後ろ足を前へと引き付けます。さらに前に進むのならそのままその後ろ足を今度は前へ振り出し・・・と続けて行きます。言葉で説明するとこれだけの行、字数を要するわけです。しかもこれでも非常に簡略化した説明。実際には腰~頭の移動に関してはさらにその角度の調整や重心位置の移動の推移など、サラリと普段やっていますが、非常に高度なことを我々は行っているんです。
ただ歩くだけでも色々大変なのに、人間はさらに細かく歩き方、と言うのが様々あります。
左は歩き方を大雑把に2例だしたもの。左は女性的な、スマートな歩き方。右は逆に男性的な、力強い歩き方。
見ての通り全く同じ3Dフィギュアを使っていますが、ちょっとした身体の各部の使い方が変わるだけでこれだけ印象が変わります。
このほかにも色々な歩き方があるわけですが、そんな中でも今回注目したいのは「戦闘向けな歩き方」。
サバイバルゲームで役に立つ歩き方、と言うのはどんなものだろう、と言う事を考えてみたいと思います。
~武道の基本はすりあし~
剣道や柔道、空手では似た様な歩き方、「歩法」があります。それは「すりあし」。
すりあしとは足を地面から高く上げず地面をする様に足を前に進める、前後の足を交互に出す通常の歩き方と違い前の足は常に前、後ろの足は常に後ろとする独特の歩法です。
右の画像はちょっとイイカゲンではありますが、この画像で説明するとまず1番上。両足を肩幅よりすこし広めに開いて腰を落とて構えています。体重はどちらかと言うと後ろ足(この場合は右足)に掛かっています。
2番目、前の足(左足)を進みたい方向に地面から殆ど離さずスライドさせるように前に出します。この動作が「する」と言うわけです。この段階ではまだ体重は後ろ足にあります。
3番目、出した前足に体重を移して行きます。後ろ足から体重を徐々に抜き、抜いた分だけ前足に体重を乗せる、と言うようにして重心位置を前に移動させます。
4番目、3番の重心位置の移動と共に、後ろに残した足をひきつけて行きます。実際にはこの3番と4番はほぼ同時に行い、分解して考える、と言うのはあまりしないだろうと思います。
5番目は最初に戻る、です。これを繰り返し移動をしていきます。
この移動方法の最大のメリットは体重の移動、重心の移動を非常に細かくコントロールすることが可能な点。そして移動の初手となる前足のすり出しの際、その前足で非常に多くの情報を得ることが可能な点です。
良く暗いところや視界の悪いところで手探り、と言う言い方をしますが、この歩法では手探りならぬ「足探り」が可能なのです。
前に出した足で体重を移す前にその場所が安定しているのか、つまづくようなものは無いか、抜けたりしないか、怪我をするような尖った物など無いか、と確認しながら移動できるわけです。
前足を出す時はまだ後ろの足に体重が乗っていますから、もし何がしかの危険があれば前足は即座に戻すことが出来るわけです。
この歩法を身につけると足元を殆ど見ずに移動することが可能になります。
先に挙げたような「武道」ではいちいち足元を良く確認してから移動する、なんてことは出来ません。とは言え足元も見ずに移動して万が一にも転んだりしたら致命的です。なんと言っても目の前にはこちらの命を狙う「敵」が居るわけですから。
そうなると相手から眼を離さず、かつ確実な移動をするにはどうすれば良いのか、そうやって生まれたのがこの「すりあし」だろうと思います。
しかしこの「すりあし」デメリットもあります。
その最大の難点は「移動速度が遅い」と言うこと。
サバゲでゲームスタートからこの「すりあし」で移動していたら敵に会う前にゲーム時間がオーバーしそうです。
そこで通常の移動には普通に歩く、走る、を使い、敵が居そうな場所ではこのすり足移動を使う、と言うのが現実的です。
「すりあし」での移動が戦闘向きなところは有る程度見えて来ました。しかし実際にサバイバルゲームで役立つのでしょうか。
こちらは縦では無く横に並べただけなんですが、これを見て何か気が付くでしょうか。
注目すべきは頭の高さ、上半身の状態。
腰から下は色々と動いていますが、頭の高さ、肩の高さ、胸の高さと言う部分は殆ど変化していません。紙かなにかで下半身だけ隠すと上半身は殆ど同じ画像が並んでいるだけになります。
この点、非常に有効だと思いませんか?銃を構えて移動するのに。
つまり「すりあし」をマスターすれば銃を構え安定させたまま移動することが可能になるのです。
これは特に隠れた敵を見つけるために行うクリアリングなどでは非常に有効です。
しかし少々長くなってきましたので今回はここまでで。
次の機会は「銃を構えたまま移動する」と言うのを考えてみたいと思います。